架空家族記
一番上の兄貴にはかなわない、と思う事がたびたびあった。変に兄貴風を吹かせたがるタイプで特に幼少の頃、俺は何もしでかしてないというのに「こいつはまだ小さいから、俺が代わりにやらなくちゃ」とばかりにいろんなことにいちいち出張ってくることが好き…
昔まだ小さかった頃、乳離れもおむつはずしもとっくに済んだ年齢のくせにやたらと親にべたべた甘えまくった時期が俺にもあった。やっと言葉をしゃべるようになったくらいの弟が親から甲斐甲斐しく世話をされているのが羨ましいやら妬ましいやらで正直しんど…
小学校に上がらないような小さいうちは手間や金を惜しがって親が子どもの髪を切る家庭は多かろうと思う。ウチもご多分に漏れずそうだった。母親は俺の髪が伸びてくると鋏を入れた。 俺は美意識というものが非常に偏った発達の仕方をしていて、幼少当時色彩の…
吸水力の証明のためによくテレビではひろげたおむつに青い水をこぼして「ほらこんなに!」とかやってるが、あれを「吸水力の証明のため」「おむつの性能アピールのため」と理解していながら、母親不在の状況下で弟のおむつ替えを試みる父親に「手伝え」とど…
たぶん家族のうちの誰かが。二人いる兄貴のうちの片方か、じゃなきゃ父親かだと思う。誰だったかは定かじゃない。 そのときの俺は未だ小さくて、当時かわいがっていたカブトムシに死なれたところだった。寿命で死んだなら諦めもついただろうがカブは飼育籠の…